症例66 背中の痛み

2021年11月16日

症例66 背中の痛み

植木鉢を持ち上げてから寝返りができないぐらいの痛みが出るという60代女性。
夜中も痛みで目がさめるぐらいらしいです。

背中の痛みは筋肉だけでなく、肩甲背神経の絞扼性障害の場合もあります。
特にじっとしてられないぐらいの痛みは神経痛が多いです。

この方も左の肩甲挙筋、菱形筋の張りが大きく神経痛の可能性があります。
絞扼性障害は一般的に筋肉の緊張が原因と言われていますが、その筋肉がなぜ緊張しているかを考えないといけません。

植木鉢を持ち上げたのがきっかけとしても、それ以前に何らかの歪みがあったはずです。
この方も第一肋骨、第二肋骨が後方に飛び出したように捻れていました。
肋骨は胸郭の一部ですから、事故でもない限りいきなり飛び出すことはありません。
腰や手、首などからの代償作用で歪みが出てきます。

痛みや手の痺れは肋骨を矯正すれば消えることが多いですが、その肋骨が捻れる原因まで考えないと一時的な効果で終わります。

この方も最近右膝の内側が痛かったと言ってましたから、それをかばった歪みが肋骨に出てたんでしょう。
全身調整の後、膝の痛みの原因と思われる右の大腿筋膜張筋のリリースと第二肋骨のリリースを行いました。
痛みは少し残るものの楽になったと帰られました。

1週間後にもう一度来院。
経過を聞くと
「あの日の夕方にはすっかり痛みが無くなって普通に動けました。膝もサポーターをしてましたが、無くても大丈夫になりました。時間がかかると思ったのに良かった。」
ということでした。
今後はなぜ右の大腿筋膜張筋が緊張しやすいかということを考えながらに施術になりますが、それ以上はもしかしたら生活習慣や過去の病気、怪我などが原因かもしれません。

前にも書きましたがオステオパシーでは「治る」という考えはありません。
すべて体が適応することで痛みが無くなります。
変形したり変性したり、人間の体は一回悪くなると完全には元には戻りません。
それを繰り返すことで「死」に向かいます。
オステオパシーは元に戻るところを戻すことで体の状態に適応させて痛みを取り除くように働きかけます。
「症状が消える」事と「治る」事は別物であり、何でも「治る」「治す」と言って治療費を貰っているとしたら、無知、無学以前に詐欺師だと思います。
体はいずれ適応しきれなくなってオステオパシーではどうしようもなくなるでしょう。
それまで出来るだけ長くサポートしていきたいと思います。